「人生100年時代」のキャリア形成!
我が国が、超高齢化社会にあることは誰にとっても既に自明のことですが、厚生労働省のHPにも明らかなように、国として、「人生100年時代」に向けて、様々な施策を繰り出しながら、我が国は爆走中(?)なわけですよ。ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されているようですので、我が国は、健康寿命が世界一の長寿社会を迎えているといってよいのです。ハローワークには、「生涯現役支援窓口」を設置され、特に 65 歳以上の高年齢求職者に対する再就職支援や求人開拓等が重点的に実施されていることを考えると、いわゆる仕事、狭い意味での「キャリア」についても、60歳、70歳と当然のように各自が考えていく時代なのです。60歳で定年で、赤いちゃんちゃんこ着て、みたいな、こんなこと言っても、何それ?という時代なんですよ。
『エイジングパラドックス』を知っていますか?
でもって、高齢者の雇用を考えるうえでは、絶対に忘れてはならないのが、『エイジングパラドックス(Aging Paradox)』ですよ。これは、近年、旺盛に研究されている分野で、人は、加齢に伴って身体的機能の低下、認知機能の低下、人間関係の喪失等ネガティブな状況が増えるにもかかわらず、幸福感は決して低くならない、という現象のことです。これ、面白くないですか?健康面や精神面で様々な低下があるのは、致し方ないことだと思うのですが、でも、様々な研究の結果、多くの高齢者の幸福感は決して低くはならない、というのですからね。高齢者の仲間入りを始めた私にとっても、とても興味をそそる、というか、とても勇気の湧いてくるような話ですよ。それは、シニア世代の多くが感じていることではないですかね?そして、なるほど、どおりで元気で明るい「おじさん」や「おばさん」が、そこらじゅうに多いわけだな、って思ったのですよ。
何で「おじさん」「おばさん」は元気なのか?
で、大事なのは、何で年寄りは元気なの?って話ですよね。心理学を学んでいる人には常識なのですが、だいたい3つくらいの研究が展開されているのですよ。ひとつは、「選択最適化補償理論」、次は「社会情動的選択制理論」、そして「老年的超越理論」です。どれもすばらしい研究成果でなのですが、私は、特に「社会情動的選択制理論」に強く惹かれたのですよ。これは、高齢者は、残された時間が限られていると認識した結果、感情的に価値のある行動をするように動機づけられる、というもので、心理学勉強していないと、こういう言い回しが難しいと思うので、ぶっちゃけてしまうと、自分が不愉快になるような人間とは付き合わない!、みたいな、限られた時間や資源を自分の満足のために使おうとする傾向、のように考えて良いと思いますよ。これ本当に良いと思いますよ。私自身、これまで嫌でたまらなかった人間関係も、良い評価を受けたい、とか、あいつの親父変わっている、なんて息子に聞かせたくない、とか、旦那さんはまだ管理職になれないの?、みたいな話を家内に聞かせたくない、とか、本当に様々な思いの中で耐えてきたわけですよ。もちろん、それは特別なことではないし、社会で生きる多くの人たちも同じじゃないですかね。これからも、身体の続く限り、仕事は頑張りたいけれど、定年を前に、子どもも独立した今、誰にも言いはしませんけど、「もうああいう人たちとはかかわりたくない!」、みたいな気持ちは絶対、どうしようもないほどありますよ。これを学んだ時、本当に気持ちが清清する自分がいましたよ。それだけで、元気になれそうでした。この理論を支えているのは、やはり心理学の用語で、「ポジティビティ・バイアス」というのがあるのですが、これも、簡単に言っちゃうと、年をとるほど若者よりも、ポジティブな情報を重視するようになる傾向のことで、そう言えば、むかし、祖父は都合の悪いことはなぜか聞こえなかったな~、みたいな思い出と重なって、思わず笑ってしまったものでした。
《パラドックス》で良いじゃないですか!
齢を重ねて、体力が落ち、視力が落ち、ドックでは再検査の嵐、上り詰めた役職もやがて解かれて……、考えると、落ち込むことばかりなようですが、ゼッタイ、そんなことはないですよ。みなさん、堂々と『エイジングパラドックス』に突入しようではありませんか。健康の続く限り、あり得ない幸福に向かって突き進みましょう!
『いつも心に太陽を!』
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