サザエさんシンドローム?
「サザエさん症候群」という言葉がありますね。言葉の意味を知らない人も、なんとなく想像できますよね。日曜の夕方になると、月曜日からまた始まる学校や仕事に対する不安などの憂鬱な気持ちがそれですよ。いわゆる、みんなの「あるある」ですよ。私は、これって真面目に生きているとある程度仕方ないな~って、思うのですよ。だって、何でもかんでも、どうでもいいや~、みたいに生きていたら、やっぱそれ感じないと思うからですよ。緊張したり、憂鬱になったりするのは、何かに真剣に向き合ってたり、好きなこと、大切なことに臨んでいる証拠だと思うからですよ。
自宅でのんびりなのに疲れる休日?
さて、そんな「サザエさん症候群」でなくても、一日家にいて、のーんびり、と過ごしたはずなのに、なんだか疲れが全く取れない、そんなことってありますよね。特に気がかりな仕事もないのに、誰かと気まずくなったりしているわけでもないのに、一日ずーっと家にいて休んでいたのに、なんだか全然疲れが取れない、そんなことありますよね。私にはよくあります。まあ、いろんな理由があると思いますが、その一つが、「自動思考」にやられている、というやつですよ。
『自動思考』って何?
「自動思考」とは、人間が置かれた様々な環境から受ける刺激に応じて、ふと浮かんでくることばや思考のこと、を言います。心理学を学んでいると、チョー重要なので、みんなよーく勉強していることなんですけど、人間は、特に自分が意識していろんなことを考えたり、感じたりしている時以外でも、状況に対して本当にいろいろなことを感じ、そして考えているのですよ。オレそんなにいつも考えてないよ~、っていう人も実は自分が意識していないだけで、たくさんのことを瞬時に感じ、考えているものなのですよ。多くは、意識もしていないし、少し意識に上ったとしても記憶まではしていないだけです。瞬時に考えが浮かんでくること、それも意識せずとも浮かんでくることは、決して悪いことばかりではありませんよ。私たちは、状況に対して瞬時に反応し、お礼を言ったり、謝ったり、ときには誰かに気を配ったりしているはずですよ。何か行動するときに、これこれこういう状況では、こうすべきである、みたいな人ばかりなら、世の中は、きっとガクガクしてしまいますよ。
『自動思考』にやられる?
でも、いつもいつも、頭の中で何かを感じ、考えたりしていると、きっと頭が疲れちゃうんじゃないかな、ということは容易に想像できますよね。そうなんですよ。一日ゆーっくりして、特に考え事もないはずなのになぜか疲れている、そんなときは、この浮かんでは消えていく「自動思考」のために、頭が一日中回転しちゃっているときかもしれないのですよ。いやいや、オレはそういうの、ぜんぜんないよ、という人は幸せですよ。逆に、次から次への浮かんでくる「自動思考」のために、全く気が休まらない人は大変です。なんだか、どうってことないこと話しているように思う人もいるかもしれませんが、この「自動思考」がヨロシクないことばかりの負のスパイラルになってしまっている人も珍しくない世の中ですしね。もおーっと進んでしまうと、治療の必要なレベルだってじゅーぶんあり得るのですよ。
『自動思考』に打ち勝つには?
浮かんでは消えていき、私たちの脳を疲れさせる、「自動思考」に対して、私たちに何ができるのでしょう。結論から言うと、どうやら完全に「自動思考」を止めることは難しいようです。おそらく、「自動思考」は、人類が過酷な環境にあっても、生き抜いていく過程で必要として獲得してきたものなのだからでしょう。
では、私たちは「自動思考」に永遠にやられ続けるしかないのでしょうか?いやいや、そうとばかりは言えないのですよ。いや、それこそがこれまで心理学が挑んできた世界でもあるのですよ。
『マインドフルネス』を知っていますか?
友人の心理カウンセラーに、自らの心理療法の中核に「マインドフルネス」を据え、研究を重ねながら、とうとう国際的なライセンスまで取得した人がいるのですが、「マインドフルネス」は、「自動思考」に働きかける心理療法のひとつですよ。「マインドフルネス」では、呼吸法が重要ですので、スーハー、スーハーしながら、マインド(精神)を落ち着かせる、みたいな理解でいる人がいますが、友人によると、やっぱ理解が足りないみたいですよ。「マインドフルネス」の大事なところは、人が自分の状態に「気づき」を得ることなのです。あれ、「自動思考」に打ち勝つんじゃないの?、と思う人もいますが、この「気づき」こそが大切なのです。つまり、スーハー、スーハーしながら、自分の呼吸だけに集中して、自分のアタマから「自動思考」を閉め出そうとしても、人間はやっぱり、次から次へと脈絡なく考えが浮かんでは消えていくものなのです。でも、それは仕方のないことで、そうなったら、「あ、今私は自動思考にとらわれているな」と気づい(意識し)て、再び呼吸に集中することを繰り返すうちに、少しずつ頭の中から要らない思考を消していくことができるのだそうですよ。呼吸法ばかりが印象に残りますが、それは自分自身の「気づき」を得るために、いちばん有効であるだけで、何も呼吸でなくても、集中して、その結果として「気づき」が得られるなら、「マインドフルネス歯磨き」でも、「マインドフルネス皿洗い」でも同じなのですよ。要は、自分自身のそのときの状態に気づき、再び集中する訓練になれば良いわけですな。なんだか、少し楽しくなってきますよ。
誰だって気分良く生きたいですよね!
しっかり休んだはずなのに、なんだかとても疲れている。「サザエさん症候群」は、ある程度仕方ないけれど、浮かんでは消えていく「自動思考」に疲れさせられているのは、やっぱりイヤですね。そんな疲れを軽減するために「マインドフルネス」が有効であることは、おおかた間違いないことのようですので、試してみる価値は十分にありますよ。でも、多くの人にとって、最も大事なのは、良好な健康状態と人間関係のなかで生活できるように、なるべく努力することだと思いますよ。だって、身体に不安もないなかで、家族や友人と過ごしていれば、ときには腹の底から笑うようなこともありますよね。思い切り笑っているとき、多くの人は、「自動思考」から解き放たれているはずですよ。また、逆にどうしようもなく悲しいとき、悔しいときもありますよね。止めどもなく涙が流れてしまうときは、やはり多くの人が「自動思考」の外にいるはずなのですよ。思い切り笑った後、思い切り泣いた後、ときにどっちも涙が出ちゃいますけど、なんだか、すっきり、クリアな自分になっていることってありますよね。「涙は心の汗!」みたいな言い方がありますけど、スポーツの後のさわやかさに似た気持ちを上手く表現していますよ。すっきり、クリアな自分は、きっと考えもまとまりますし、パフォーマンスも上がりますよ。翌日からの学校や仕事でも上手くいきそうな気がしてくるではありませんか。少し頑張ってみるか、みたいな感じですよ。
どんよりした休日がいいか、すっきりクリアな休日がいいか、あなたは、どっち?
いつも心に太陽を!
コメント